小説 輝く月の夜に 7 (ライブ‼︎)
ノゾミとのクリスマス。
旭は最高に幸せだった。
ノゾミも旭の事を好印象で受け入れている。
付き合う、付き合わないは無しにして
自然体で彼氏と彼女の関係になって行くのだろう。
旭はサトシのところの塗装屋の仕事の休憩中にサトシに紹介してくれたノゾミとのデートの事を一部始終話すと、サトシも、良かったじゃねえの、と、祝いの言葉をくれた。
『サトシくん、今月、12月の31日、もうさすがに年末年始の休みに入っているよねぇ。』
旭はサトシにそうたずねた。
『なんでぇ、なんかあんの?』
サトシは旭にそう言うと、
『ひさびさのライブのイベントがあるんだよね、サトシくんも良かったら見に来てよ。』
サトシは、
『そんなん、ぜってー行くってぇ。』
と、即答で答えてくれた。
今日が26日、あと5日で否が応でもライブの日はやってくる。
旭は仕事と歌の練習を経てライブ当日がやって来た。
夕方6:30『ジェイド』はオープンした。
まだ客の入りは4、5人。
5組のレゲエディージェイがマイクをにぎり、出演し、4組のレゲエサウンドがレコードを回す。
今はアーリータイムといって、ルーツレゲエや70年代、80年代初期のレゲエがながれている。
ボブマーレイのNICE TIMEがちょうどながれて来た。
3組目が旭とヒサシの出番だ。
1組目のアーリータイムが終わると2組目のサウンド、ジェネラルの順番がやって来た。
90年代のジョグリンで段々と混み出したオーディエンスをガンガンに沸かしている。
45分くらいの時をダンスに良い狂わせると、マイクを持ったセレクターがこうしゃべくりだした。
『今日ここに集まったMAN DEN,GAL
DEN,RUDE BOY,BADMAN,BADGAL、みんな楽しみにしていたdeejayのショーケースの時間だ、準備はいいか?』
すぐさまイケイケのオケがかかると同時にShot Killer と言う若いdeejayが登場して歌い出した。
客もそれなりにノッていてライブは悪くない。
時間はあっと言う間にすぎ、二番手のdeejayに巧みにマイクをわたした。
二番手の新人のsaga torkはあまり客を盛り上げられずに、次の旭とヒサシの出番がきた。
二人『ラガマフィ♪ラガマフィン♪
やかましい俺らがリアルラガマフィン♪』
ヒサシ 『pull up!!!!!!!!』
旭『セレクタさん頭からもいっかいリディムちょーだい!』
二人 『ラガマフィン♪ラガマフィン♪
やかましい俺らがリアルラガマフィン♪』
サビを4回繰り返す間にライターやガンフィンガーが上がった。
ヒサシは現場なれしているが、旭はかなり興奮しているのと上がっているのとの両極端にいた。
あと2曲はソロで先にヒサシが1曲歌って旭が次にソロでサビとワンバースしか無い歌を3回繰り返して二人のライブの持ち時間は終了した。
ヒサシはベテランにも手が届くキャリアなので
ガンガンに沸かしていたが、旭の曲もそう悪くは無かった。
持ち時間が終わりオーディエンスに混じってフロアにいると、サトシがいた。
サトシから声をかけてきた第一声、
『マジでヤバかったじゃん、後ろでイケイケで聞いとったてえ。』
ヒサシは、
『サトシくん、来てくれとったの?マジでリスペクトだわ!』
と、サトシに言った。
旭は
『サトシくん、ありがとうね。酒でも飲もうよ。』
3人はバーカウンターへ向かって行った。
ギュウギュウに詰まったお客さんをかきわけて。
4組目、5組目のライブも気がつくと無事に客を盛り上げて終わり、あとはサウンドで好きな曲がかかればライターを灯したり、知っている曲がかかれば皆んなで合唱したり。
楽しい時間というのは本当にあっと言う間に過ぎ行く。
ライブで多少なりとも何かをつかんだ旭は、またライブしたい。
そう思った。
旭とヒサシは自分達の持ち時間の前にモチロンの事、ミドリの薬草に火をかたむけていた。
ブリブリに煙るとノドも開いて歌もシラフの時より上手くなる。
まあ、レゲエやヒップホップの暗黙の了解といったところか、
まあ、十中八九そうだとは言わないが。
今夜の月はどんな様に寝静まる街を照らしていたのだろう。
あけましておめでとうとともに、今年もよろしくと、イベントは幕を閉じた。
つづく
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